家族性アルツハイマー病と孤発性アルツハイマー病

以前、ある高校で出前講義をした時、大変困ったことがありました。生徒が「生物」の授業で遺伝について勉強していなかったので、家族性(遺伝性)アルツハイマー病について説明することが事実上不可能だったのです。ここでは、高卒レベルの生物学の知識があることを前提に解説します。

家族性アルツハイマー病とは、通常、常染色体(XやY染色体以外のもの)優性遺伝するものを意味します。例外的に劣性遺伝するものも報告されています。通常、若齢(20代後半から65歳以下)で発症します。後記するように、3つの原因遺伝子が同定されています。

一方、明確な遺伝性が認められないものを孤発性アルツハイマー病と呼びます。基本的に晩期(65歳以降)発症型で、最大の危険因子は加齢です。その他の危険因子については他稿で述べますが、アポリポタンパク質E(アポE)4の遺伝子多型が発症リスクを高めます。アポEはコレステロールを輸送するタンパク質です。若年性アルツハイマー病の中には明確な遺伝性が認められないものがあります。その原因は謎です。

家族性と孤発性を比較した場合、患者数が圧倒的に多いのは、孤発性です。家族性の割合は明確には分かっていませんが、アポE4を含めなければ、私は1%以下だと思っています。さらに、家族性と孤発性の比は一定ではありません。前者は総人口あたりの割合が不変であるのに対して、後者は人口の高齢化が進むほど増加します。今後、さらに孤発性の割合が大きくなると予測されます。

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Gerald Schellenberg and Christine Van Broeckhoven, Geneticists.