厚生労働省について

メディアには批判されることの多い厚生労働省(旧厚生省)ですが、実は、国際的にはかなり高く評価されています。少し歴史を振り返ってみましょう。戦前の日本人の平均寿命は50歳を切っていました。それが今では世界のトップレベルです。高度経済成長はもちろん貢献していますが、何と言っても衛生学的・栄養学的・医学的政策が素晴らしかったのだと思います。戦後、日本ほど平均寿命が伸びた国はありません。確かに、水俣病やAIDSなどの汚点もありました。それでも貢献の方がはるかに大きかったと思います。WHOなどの国際会議でも、厚生労働省の評判は悪くありません。「健康長寿」という表現も厚生労働省が作りました。よい言葉だと思います。

厚生労働省が監督する組織の一つにPMDAがあります。創薬や医療機器製造開発に関して助言する組織です。私は、一度、遺伝子治療の臨床試験に関して相談に行きました。起業を決心する前のことです。3名の方が私の話を熱心にお聞きになり、真摯に助言していただきました。私は明るい未来を感じました。

厚生労働省の認知症研究拠点は、愛知県大府市にある国立長寿医療研究所(長寿研)です。既に我々は「次世代型アルツハイマー病モデル」を共同研究のために供与しました。長寿研では、認知症の診断・予防・治療に関する研究が行われていますが、あまりに規模が小さすぎ、機動力に欠けます。

厚生労働省は、岡光序治事務次官(当時)の収賄事件(1996年)以降、予算の執行に関して極めて神経質になりました。これ自体は悪いことではありません。しかし、副作用として、研究を遂行する体制が硬直化してしまいました。研究とは先が予測できないからこそ研究であり、状況に応じて臨機応変に対応しなければならないものです。ところが、厚生労働省における研究は、最初に計画を立て、その後は計画通りに進めなければいけません。(他の省も類似の点はありますが、厚生労働省は突出していると思います。)現場の研究者は雁字搦めであるとの印象です。傍から見て気の毒なほどです。

2014年7月にコペンハーゲンで開催された国際アルツハイマー病学会で各国の政府代表者が認知症研究政策を披露する機会がありました。欧米諸国は基礎から臨床まで徹底的に研究を行うことを力強く表明したのに対して、日本は「オレンジプラン」に代表される介護に重点を置いた発表でした。こんな事では、世界に負けるだけではなく、中国や韓国にも追い抜かれてしまいます。私たちは、今、動かなければならないのです。

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